第7話

DCCを楽しむ(2) こだ運9に参加 

2002.7.11

 

第1-1話から1年、今年もグループZUDEN主催、こだわりの運転会9に参加しました。
今年も梅雨時を狙っての開催で6/21-23の3日間、場所は毎度お馴染み御殿場YMCA東山荘です。ここ数年DCCを制御システムの中心に据えてパソコンとLANを駆使した信号システムによるダイヤ運転がこだわりの運転会のメインメニューです。

年1回の開催も第1回から数えて10回目、毎回ポイントtoポイントの路線を敷いたダイヤ運転を楽しんできました。
第1回の東海道・山陽は、巨大なスイッチボックス(MCPと呼んでいます)を駆使した同時8列車運転でのダイヤ運転を皮切りに、毎回路線別のテーマを決めて行うダイヤ運転は、本物の鉄道を運転する気分に大いに浸ることができました。制御や信号システムも当初の8列車制御用スイッチボックスMCPから、支線用に単線閉塞機能を備えたVCPに発展し、7回目からDCCを取り入れたデジタル方式とLANによる信号システム、任意倍速時計など参加メンバーの衆知を集めた新システムを取り入れて発展してきました。

前回、第1-1話に取り上げた京浜急行では本格的にDCCによるダイヤ運転、21列車同時運行など、これまでのアナログ方式では考えられない規模を実現し、今回は中央東線をDCCで運行しました。

それでは、こだ運9でのスナップとともに、どのように楽しんでいるかご紹介させていただきましょう。

右の写真が駅の雰囲気です。

駅には駅務用パソコンと運転士用のパソコンが配置されています。下左の画面が表示される駅務用パソコンは、その駅に発着する列車が上り下り別に表示されています。それぞれ列車の発着番線、発着の時刻、駅での作業(待避や追い越し、終着など)が示され、発着のチェック欄が備わっています。
駅員は紙で配られるダイヤとパソコン画面を見ながら、ポイントの操作や場内信号、出発信号の操作を受け持ちます。

列車の運転士は、ウォークアラウンドといって列車と一緒に線路に沿って歩き回ります。駅では下右の写真のように、ダイヤ順に列車に対する信号を表示するPCを配置しています。運転士は画面に表示された信号にしたがって、駅への進入、停車、発車を操作します。勿論、ダイヤを見ながら指定の時刻通りに運転することが第一です。
DCCでは、列車はコントローラーをコネクタから抜いてもその直前のスピードで動き続けます。このため、運転士は駅を発車しスピードに乗った時点でコネクタを抜き取り、列車に先回りして次の駅まで歩き、次の駅のコネクタに差し込んで列車を停止させるという運転方法になります。

駅のパソコンで信号を操作すると、運転士用パソコンの表示もその通りに変化します。これは、すべてのパソコンがLANで結ばれ、サーバーとのやりとりをしているからです。サーバーでは全駅のパソコンからの状況を受け取り、運転士へ信号を表示します。また、右の写真で、脳天気にパソコンを操作しているのが列車指令の高橋君です。指令用画面では全ての列車の運転状況、駅の状況を知ることができ、さらに、倍速時計を操作して倍速値を変化させることができます。脱線などで運行が滞った場合には指令がこっそり倍速値を遅くしたり、順調になれば速くして正常ダイヤで運転できるように加減します。

このようなシステムを使ってダイヤ運転をシミュレートして楽しむのがこだわりの運転会であります。

 

今回の規模は、14m×10mの体育館の約半分を使ってNゲージ中央本線を展開しています。中心となるパワー供給とデジタルコントロールを行っているのが左の写真にあるDCC本体(DCS100とDB150)で、DCS100がデジタル信号処理をDB150はブースターです。なにせ、延長50m超の複線で13列車ですから1台ではちょっと力不足。HOでは4台ほど必要になります。

また、線路だけで電力を供給するとレールの抵抗が大きく電圧低下を招くので、本体からの電力線は各駅へ太めのリード線を使って配線してあります。

本体の後ろで息子に操作を教えている?のがダイヤと車両運用を担当した福谷さんです。

 

駅は新宿-三鷹-武蔵小金井-立川-高尾-相模湖-大月の7駅、高尾までは複線、高尾から単線にしてダイヤに変化を付けています。
駅間は新宿-三鷹-武蔵小金井-立川が約10m間隔になっていて、Nゲージの電車ではかなりの時間がかかります。(新宿-三鷹間にはホームだけの阿佐ヶ谷がありますが)

列車はカナリヤ色の総武緩行、オレンジの快速、特快(こちらは201系と101系の800番代、103系趣味の世界^_^)、普通列車は山スカ、115系、EF64の牽く客車、急行は165系アルプス、かいじ、そしてキハ58系、特急は勿論181系あずさです。

運転は、練習ダイヤ>標準ダイヤ>休日ダイヤと3種類のダイヤを使って徐々に難しいダイヤに進む方式です。それぞれ2〜3回(各1時間ぐらい)運転すると慣れてくるのでそれらしくなってきます。

列車の運行パターンは、電車と長距離列車の組み合わせによってバラエティに富んだ運行形態になっています。当然、中央線の運転形態に限りなく近く設定してあります。電車系は、緩行は三鷹折り返し、快速は武蔵小金井、立川折り返し、特快は高尾折り返し、休日ダイヤは相模湖折り返しという具合、長距離列車は新宿まで乗り入れるものと立川折り返しとなるもの、特急・急行は新宿まで乗り入れます。

右上が始発駅の新宿です。なぜか今回のダイヤ運転には関係ないエンドレスが付属していて、山手線が気持ちよさそうに走り回っていました。
駅の機能としては複線行き止まりで、2面3線のホームで運行されます。ダイヤ運転では、到着と発車を繰り返すので駅員はそこそこ忙しく働かされる駅です。

右は三鷹駅。実際の三鷹と同様、2面4線のホームですが、緩行線がないのでカナリア色の緩行電車も中央線を走ってきます。駅の向こう側にちらっと渡り線が見えますが、緩行電車はこの渡り線を使って折り返し運転を行います。また、実物では三鷹は特別快速が快速を追い抜く駅ですから、今回のダイヤでも快速はここで特快接続を行います。折り返しと追い抜きが重なると駅員はパニックします。

駅右に見える線路が武蔵小金井方面への線路です。三鷹を出るとぐるっとループしてここを走っていきます。

左は武蔵小金井駅です。ここはこれまでのこだ運で活躍を続けてきた真水さん製作の駅で、2面3線のホームを持っています。

3駅を見てお判りでしょうが、各駅は必要最低限のホーム数で構成されているので、駅務のちょっとしたミスがあると列車が折り返しできなかったり、上下の通過列車が中線で鉢合わせになることもあります。

武蔵小金井では上下ともに特急や急行の通過待ちが組まれているので、中線を上手く使わないといけません。このようなダイヤ上のトラップが必ず組み込まれているのがこだ運のダイヤだったりします。

下は立川駅、ここのトラップは山線列車の折り返しです。
ホームは2面4線ですが、1線は山線方向にしか開いていません。ですから、本線列車にとっては武蔵小金井と同じ2面3線でしかありません。立川では快速電車の折り返しが頻繁に行われ、特快や急行などを通過させながらの折り返し操作をします。

中線に入れるべき電車を入れ間違えると復旧させるのに骨が折れます。

駅を操作している入江さんの後ろにちらっと見えているのが高尾です。高尾駅のスナップは一番上にありますが、ここは特快のほとんどが折り返しを行います。ホームは2面3線を使用し、手前の2線だけが単線区間へ続いてます。

単線区間はこのようなダイヤ運転には必須で、上下の電車が行き違いを行うため、乱れたダイヤを平均化する機能があります。

運転士が列車と一緒に移動しながら運転するので、単線区間には下の写真のように通票が使われます。単線区間を走る電車の運転士はこの通票が駅にないと区間に入れないことにしています。DCCではアナログと違って平気で正面衝突が起こります。通票は実物同様、DCCでの単線運転に欠かせないアイテムなのです。

最後に大月と相模湖、左上の写真です。
手前が大月、パソコンの向こう側山スカ115系が停車しているところが相模湖駅です。相模湖は折り返しもありますが、スプリングポイントで列車交換が行える駅員無配置駅です。

大月は2線+1留置線、客レの機回しと貨車の留置を行えます。
ボード上にKATOのユニトラックで仮設した駅ですが、本田さん持参の駅舎とホームでしっかりした駅になっていました。

最後に第6話でデコーダーを搭載した181系あずさ号のスナップ(^^;)。シーナリー付き単線モジュールを走る雄姿です。ダイヤ運転をしている最中に線路端で目線を落として眺めるとなかなかイイものです。

最後に、散文的な説明ではなかなかお判りいただけないかもしれないので、運転会の概要をご披露させていただきます。

【スケジュール】

6/21(金)

1200 会場設営開始
1400 運転システム展開
1600 システム試験
1800 試運転フェーズ
2100 運転終了
2230 ミーティング

6/22(土)

0800 フェーズ1(練習ダイヤ)
1000 フェーズ2(標準ダイヤ1)
1300 フェーズ3(標準ダイヤ2)
1500 フリー運転
1800 フェーズ4(サイドメニュー)
2100 運転終了
2230 ミーティング、互助会

6/23(日)

0800 フェーズ5(行楽ダイヤ)
1000 フェーズ6(サイドメニュー)
1300 予備フェーズ
1500 撤収開始
1600 解散

【走行列車】

      新宿  三鷹  小金井  立川  高尾  大月
 緩行   ○−−−○−−−○
 快速1  ○−−−○−−−○−−−○
 快速2  ○−−−○−−−○−−−○
 快速3  ○−−−○−−−○−−−○−−−○
 特快   ○−−−○−−−−−−−○−−−○
 普通   ○−−−−−−−−−−−○−−−○−−−○
 急行   ○−−−−−−−−−−−○−−−−−−−○
 特急   ○−−−−−−−−−−−−−−−−−−−○

中央線フェーズに出てくる列車:( ←松本方  東京方→ )

※緩行運用:6連2本
 クハ 100-モハ 100-モハ 101-サハ 101-モハ 100-クモハ101
  101系(カナリア)非冷房

 クハ 103-モハ 102-モハ 103-サハ 103-モハ 102-クモハ103
  103系(カナリア)初期型非冷房

※快速運用:7連6本

 クモハ100-モハ 101-モハ 100-クモハ100+クモハ100-モハ 101-クハ 101
  101系非冷房

 クモハ100-モハ 101-モハ 100-クモハ100+クモハ100-モハ 101-クハ 101
  101系非冷房

 クモハ100-モハ 101-モハ 100-クモハ100+クハ 100-モハ 100-クモハ101
  101系非冷房

 クモハ100-モハ 101-モハ 100-クモハ100+クハ 100-モハ 100-クモハ101
  101系非冷房低屋根800代

 クハ 103-モハ 102-モハ 102-クモハ103+クハ 103-モハ 102-クモハ103
  103系初期型非冷房

 クハ 103-モハ 102-モハ 102-クモハ103+クハ 103-モハ 102-クモハ103
  103系初期型非冷房

※特別快速運用:7連2本

 クハ 103-モハ 102-モハ 103-サハ 103-モハ 102-モハ 103-クハ 103
  103系高床運転台冷房

 クモハ200-モハ 201-モハ 200-モハ 201-モハ 200-モハ 201-クハ 201
  201系900代

※普通運用:8連1本

 クハ 115-モハ 114-クモハ115-サハ 115-サハ 115-クハ 115-モハ 114-クモハ115
  非冷房115系低屋根800代

※普通運用:8連1本

 EF 64+オハフ 45-スハ 43-オハ 46-オハ 35-スハ 43-ナハ 11-スハフ 42

※急行運用:8連1本

 急(アルプス)
 クハ 165-モハ 164-クモハ165+クハ 165-サハ 164-サロ 165-モハ 164-クモハ165
  165系低屋根800代、売店車は必須

※特急運用:8連1本

 特急(あずさ)
 クハ 181-モロ 180-モロ 181-サハ 180-サシ 181-モハ 180-モハ 181-クハ 181

今回のサブメニューは、伴天連(ヨーロッパ型ダイヤ運転)と路面電車(HO)のDCC運転でした。

 

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